2018年6月

今月の歌舞伎座は、昼も夜も充実していて見応えがあり、愉しい。
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昼の部の「野晒悟助」は、傘に描かれた音羽屋の文字と菊五郎格子で彩られた劇団特有の息の合った鮮やかな立回りに客席が浮き立つ、
それぞれの役が板の上で活きて、江戸のリアルがそこにあるような音羽屋の世話物。
 それに「敵役のサムライってのはこうでなくちゃ」と思う左團次さんの存在感。
 先月の、弁天小僧の大屋根に続いて四天王寺足場での立回り、観客としては嬉しい。
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 夜の部の「夏祭浪花鑑」は久しぶり。
終わりが陰惨な芝居だと思っていたけれど、殺し場がわりにアッサリとしていて、重すぎなくていいと思った。
 これは好みの問題だけど。
上方の芝居でも江戸風味、播磨屋の味付けかな?
 菊之助さんのお梶の落ち着きのある美しさと京屋のお辰の芯の強い美しさ、錦之助さんの徳兵衛もそれぞれの役が活きていて印象深い。
 さて、和史君をおんぶした花道は、首抜きの浴衣に緋縮緬の巾広で颯爽と若々しい吉右衛門さんも、さすがにトトというよりジィジの顔に…。
客席も親戚のような気分になる。
 そして、歌六さんの存在感はなんだろう…肚のなかに役が住みついている。
その息子の米吉くんの「野晒」での娘っぷりも、芝居が「過ぎないところ」で印象的なのはたいしたものだと思わされる。

芝居好きには味わい深い今月の歌舞伎座。
あまり喋っては見る楽しみが薄れるか…
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木挽町広場もにぎわってますよ。

タマ