もう、十年余も前のことだけれど銀座の老舗呉服店にて。
 夏帯と帯締めの組合せで迷っている友人に、番頭さんが「ぼうっとしてるのがいいんですよ」と。
…良い意味で、ぼうっとしたところのある友人なので可笑しかったが。
ホントにその通り。
 キリッと見えるかと思って強い色を効かせると、悪い目立ち方をしたり他のものには使えなかったりする。
 そうそう、番頭さんのおっしゃるとおり、ぼうっとしてるくらいのほうが品良く涼しげに見えるのです。

 ディスプレイや衣装をそのまま日常空間にもっていくと浮いてしまうのは当たり前。
 いわゆるバブルの頃、呉服店のウィンドウディスプレイや店内のレイアウト、キモノショウ等をずいぶん経験させてもらった。
 お客様の目をキャッチするために、いわば舞台装置を組んでキモノを際立たせる。
 お店を覚えてもらうのが目的。
だって、呉服店はどこも呉服店でしかないので、
それぞれのお店を「あの呉服店」と覚えてもらうことが当時の仕事だったように思う。
 キモノショウというのも華やかで、実際にはしないような着付けでショウアップもする。
キモノは同じシルエットなので動きがない、なんとかならないか、なんてオファーもあった。

 「あれ買ってどうするんだろう」と思うような数百万円の作家物やら、奇をてらったようなものも売れていたと思う…(笑)

 髪飾りをプロデュースしたことがあった。
正絹の帯地で少し傷のあるものを安く仕入れ、良いとこ取りで贅沢なリボンを作ったが、品良く仕上がったと思っても、紅い玉カンザシなどを足したほうがよく売れることがわかった。

ちょっと過ぎたモノの方が売れるのです。
 …飾りたい気分はわかるけど、ちょっと引いたほうが街の風景にもその人にも馴染みます。

 頑張らなくても、ただ似合うようにキモノを着ているだけで、
その人の「いい感じ」は自然に出てくるものだと思う。
 着付けを習いに来てくれた皆さんのキモノのコーディネートや、その人に似合うスタイリングの仕方を工夫するのだけど、
キモノを着るというちょっとした緊張感だけでも人はキレイになれるんじゃないかと、いつも思う。
 よほど洋服が似合っている人でもキモノを着ると違った美しさが現れるし、着付けのお稽古に来たときより帰るときのほうが、みんなキレイになってる。
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ふだんに着るキモノ
(^^♪いいものだな、と思う。

タマ