三月三日、国立劇場の初日。
 …その後の雑用続きで更新が遅くなってしまった…

劇場前のお庭の梅は満開。
道行の柄も梅満開。
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舞台のほうは初夏のお話。
菊之助さん初役の新三で、「梅雨小袖昔八丈」が初日を迎えました。
(ご参考までに、国立劇場のウェブサイトの解説は写真入りで、とてもわかりやすいです)
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 菊之助さんの新三は、スッキリと様子が良くて、
梅枝さんの忠七には、若気の至りで新三の口車に乗ってしまう勢いのようなものを感じる。
 何度も観てきた七代目梅幸さんのは、新三の巧妙な手の内に落ちてしまう可愛そうな忠七だった。
新三に髪を撫で付けてもらうときの、姿勢正しく手を揃えて座ったなで肩の、口元をきゅっと結んだ梅幸さんの忠七が今も目の奥に残っている。

 「意気」が衣装を着て立っているようでなくちゃならないといわれる新三だけど、芝居で見せようとしてもそうは見えない。

「何もしないでそう見えなくちゃいけない」と師匠。

 たしかに、六代目の新三の舞台写真を見ると何もしてない。
悪人は「これから悪事を働くぞ」という表情はつくらない。
このあたりが六代目のリアリティなんだろうなぁ。
 リアリティといえば、
お師匠さんがいつも嘆くことだけど、「生活の仕方が違ってきたから、踊りだって芝居だってキモノを着て普通に見えるところから稽古しなくちゃならない」と。
 ‎これから、ますます手間がかかるようになりますね…
 ‎
 さて、この芝居では「薩摩さ」という唄が使われる。

 薩摩さ こりゃサ 薩摩と急い
 でおせどェ 
 汐がサ こりゃサ そそりで  
 艪がたたぬェ

初鰹の売り声に「薩摩さ」で、
浴衣姿の新三が花道に登場する。

歌舞伎では威勢のいい男の、
出のテーマソングみたいなものだけど、張り上げすぎて喧しいことがある。
いくら威勢がいいからって、力まれてもネェ…
 今月は、加減のいい「薩摩さ」で嬉しかった。

 初鰹に高級料亭の名入手ぬぐい浴衣。回り髪結いには不似合いの贅沢を舞台上に登場させて、悪いお金を稼いでいる事を見せる。
 拐かした娘を取り返しに来た親分、團蔵さんの弥太五郎源七を突っぱねたあとの、
 ‎もうひと回り悪人の大家とのやり取りは、滑稽みと愛嬌があって憎めない。
 ‎拐かした娘を帰すときに見せる菊之助の新三の、拗ねた不良少年のような目つきが色っぽい。
 大詰めは、恥をかかされた弥太五郎源七との命のやり取り。

 ‎
小唄「髪結新三」

  目に青葉
  山ほととぎす 初がつお
  かつお かつお の売り声を
  聞く 湯帰りの耳果報
  さつまさ
  コリャサ アアア

  髷にさしたる房楊枝
  浴衣の裾をかいどりて
  髪結い新三は いい男


一足先に初夏の気分。
タマ