「恋よ恋、われ中空になすな恋」
徐々に明るくなる舞台は、菜の花に桜の若木。

写真は西川春喜久師の「保名」
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 春の野辺に、もうすでに幻の世界に住む保名が、恋人のかたみの小袖をを抱いて狂いさまよう。
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 男っぽくても変、なよなよと女っぽくても変。そのあたりが難しい。

 七代目梅幸さんの保名は、けだるく美しく高貴な雰囲気があった。
定まらない視線の先に保名が見ている幻の世界が感じられて、せつない。
 歌舞伎座の大道具でしかないのに、どこの春より春らしい気がしたのは、芸の力ということか。

 明治までは鳥居前でまん幕をはった大道具であったのを、今の形に変えた六代目菊五郎は、
「なんだか夢の中で雲の上を歩いてるように思うことがあります。ひとりでに踊れてくるんだ」と。

ひとりでに、ね。
名人のおっしゃることことはスゴい。

春よこい。
タマ