秋の夜長ともなれば月はどこに出てるかな、なんて思う。
 立待月に居待月、満ち欠けする月にいろんな名前をつけて、なにかというと月を眺めていた、源氏物語の頃の月を観てみたい。

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 写真は、清元の「月」
幕開きの、お師匠さんの後ろ姿。
舞台は歌舞伎座。

 昔々から月を眺めてもの思う、その月の下の様々な人を一人で踊り分ける素踊りです。

 真澄の月、少し遠くに須磨の波音。
 平家琵琶、嵯峨野の月に透き通る笛の音。
 名月は座頭の妻の泣く夜、と詠む句。
 隅田川の船に乗り込む芸者、盃に映る月。
 鎮守の森の村娘と
 月明かりにおどけて踊る若者。
それを見守るカカシ。

物語のなかに引き込まれるような、西川鯉三郎師による作舞。
田中青滋 作詞
清元栄寿郎 作曲
初演は昭和28年の鯉風会。