江戸芸能遊び

小唄と日本舞踊、着付けの稽古場「遊芸の稽古所・はしもと」の日々のお稽古やイベントのお知らせをしています。 「江戸の芸能で遊ぶ」楽しさをお伝えするブログです。
初心者にも分かりやすく本格的なお稽古をやってます。

歌舞伎

春日流小唄の「お祭り佐七」は、
十五世市村羽左衛門を指して「その噂さえ橘や」(羽左衛門の屋号の橘屋)という歌詞が付いてます。
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今月の歌舞伎座は音羽屋さん。
江戸弁が気持ちいい。
菊五郎さんだと、一本気とはいえ、もうちっと分別がありそうな、、、。
後先構わずカッとなって斬りつけるような人には思えない。
こっちが勝手にそう思ってしまってるのかもしれないけど😆

劇中劇のお軽勘平は、みんな順番に子どもの頃にやってきたお役だそうで、今回も親戚一同が見守るなかです。
インスタでも拝見しましたが、亀三郎さんのお軽もずいぶんお稽古されたんでしょう。
眞秀さんとの道行きはお似合いです。
お祭りの浴衣姿で延寿太夫も出演。
賑やかな幕開けで、気分はすっかり江戸育ち。

小唄「お祭り佐七」

町々へ音に聞こえし江戸育ち
その噂さえ橘や
かけた羽織の情けさえ
袖にかえした仇口に
喧嘩冠りの一本気
縁の糸もふっつりと
切れて読みなす文の綾
辻行灯に照らす真実


ほかに、この芝居では柳橋への場面転換で「柳橋から」、
小糸殺しの場で「露は尾花」がゆるりと演奏されます。
このゆったりとした小唄と凄惨な殺しの場面との取り合わせは、スローモーションのようにも感じられて、最初に思いついた人は天才。

歌舞伎にも、ちょいちょい小唄が出ますから、たまに黒御簾の方も気にしてみてください。

タマ

歌舞伎座の九月は、秀山祭。

二日、夜の部がハネて、久しぶりに眺めてみたら歌舞伎座正面のライティングきれいです。
それにしても凄い湿気。
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吉右衛門さんの松王丸はホントに松王丸。
力んだり気張ったりしなくても松王丸の大きさ、それから悲しみが滲んでくる。
あの大仰な拵えで自然な人間を表現できるんだから、やっぱり凄いな。

菊之助さんの千代が花道で見込んだところ、松王丸の隣に控えている形、梅幸さんが若くなって戻ってきたかと錯覚をするほど。
品格は持って生まれてくるものなのか…。
丑の助君の菅秀才、立派。

「寺子屋」の後の「勧進帳」は、観客にとってはちょっと重たい。
明るい踊りでも観たい気分。
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 追い出しの「松浦の太鼓」は好きなお芝居で、吉右衛門さんの愛嬌のある殿様が太鼓の音を数えながら座ったまま膝でぴょんぴょん跳ねるような仕草が楽しかったけど、今回の歌六さんのも風流好みで重みのある殿様らしさに無邪気なところが自然で、観ていて疲れない。
笹竹を売る大高源吾を見て師走の十三日とわかる観客も少ないよなぁ…なんて。
ましてや、其角との句のやり取り「年の瀬や 水の流れと人の身は」「あした待たるる その宝船」に、ちょっと色っぽい句なんかを付け足して小唄になってるなんて…ね。

小唄「年の瀬や」

年の瀬や 年の瀬や
水の流れと人の身は
留めてとまらぬ色の道
浮世の義理の捨てどころ
頭巾羽織もぬぎすてて
肌さえ寒き竹売の
あした待たるる宝船


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タマ


あっという間に一月が過ぎて、もう月末。

遅ればせながら本年もよろしくお願いいたします。
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昨年同様、国立劇場にて菊五郎劇団の初芝居で、目出度く新年の気分を満喫しました。
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例年通り劇団の皆さんの鏡開きで始まり、幕間には獅子舞や太神楽、階段上には大凧があがって、ロビーにいるだけで昔ながらの正月気分に。
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東京地方は異常な乾燥状態で、ひと月近く喉に違和感あり…。

インフルエンザに火事多発。
心配事も多い年明けですが、新しい時代に向かって今年もお稽古頑張ります。

タマ

2018年6月

今月の歌舞伎座は、昼も夜も充実していて見応えがあり、愉しい。
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昼の部の「野晒悟助」は、傘に描かれた音羽屋の文字と菊五郎格子で彩られた劇団特有の息の合った鮮やかな立回りに客席が浮き立つ、
それぞれの役が板の上で活きて、江戸のリアルがそこにあるような音羽屋の世話物。
 それに「敵役のサムライってのはこうでなくちゃ」と思う左團次さんの存在感。
 先月の、弁天小僧の大屋根に続いて四天王寺足場での立回り、観客としては嬉しい。
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 夜の部の「夏祭浪花鑑」は久しぶり。
終わりが陰惨な芝居だと思っていたけれど、殺し場がわりにアッサリとしていて、重すぎなくていいと思った。
 これは好みの問題だけど。
上方の芝居でも江戸風味、播磨屋の味付けかな?
 菊之助さんのお梶の落ち着きのある美しさと京屋のお辰の芯の強い美しさ、錦之助さんの徳兵衛もそれぞれの役が活きていて印象深い。
 さて、和史君をおんぶした花道は、首抜きの浴衣に緋縮緬の巾広で颯爽と若々しい吉右衛門さんも、さすがにトトというよりジィジの顔に…。
客席も親戚のような気分になる。
 そして、歌六さんの存在感はなんだろう…肚のなかに役が住みついている。
その息子の米吉くんの「野晒」での娘っぷりも、芝居が「過ぎないところ」で印象的なのはたいしたものだと思わされる。

芝居好きには味わい深い今月の歌舞伎座。
あまり喋っては見る楽しみが薄れるか…
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木挽町広場もにぎわってますよ。

タマ


團菊祭夜の部。
いつもより早目に着いたら、昼の部と夜の部の入替えで大混雑の歌舞伎座前。
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どうせ待つならと、歩道の隅っこで、送ってあげる約束の團菊祭の筋書とべっ甲アメをレターパックに詰めていたら、同じく夜の部の開場を待つ品の良い奥様が、「手伝いましょうか?」と。
そんなわけで、しばし歌舞伎話。
 件の奥様、長年の音羽屋ファンとみえて「菊五郎さんの弁天小僧も久しぶり。NHKも昔みたいにもっと歌舞伎の劇場中継しなくちゃいけませんよね…」と。
 屋根の立ち回りもあるしお膝も痛いでしょう、菊五郎さんの弁天小僧はこれが見納めかな…とか、
 劇場中継も、この頃は…
どうしてそこで顔に寄っちゃうかなぁ?
ここは相手も画面に入ってないと成り立たないでしょう、と思うことも…
などと、お互いに文句も言いながら、
菊之助さんは初役続きでこれから楽しみだとか、芝居見物の前置きが面白かった…。

 昔のことを懐かしんでばかりではいけないが、かつて三階にあった古い“こげ茶色の喫茶店”ではツウのおじさんたちが、そのまた昔の七代目幸四郎やら六代目菊五郎の芝居はこうだった…なんて、傍で聞いてて楽しかったのを思い出す。
 三階の切符を買ってもらって、歌舞伎座で半日遊んで過ごした頃は劇場の中ものんびりしていた。
 壁に並んだ昔の役者の写真を見て、あのオジサンたちの話はこの人かぁ、なんて思ったり。
見たことのある役者さんが写真になったのを見て悲しくなったり。
 イヤホンガイドなんてなかったし、わけもわからず観てるだけだったけど、歌舞伎座は鮮やかな夢の国だった。

タマ

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