江戸芸能遊び

小唄と日本舞踊、着付けの稽古場「遊芸の稽古所・はしもと」の日々のお稽古やイベントのお知らせをしています。 「江戸の芸能で遊ぶ」楽しさをお伝えするブログです。
初心者にも分かりやすく本格的なお稽古をやってます。

2017年12月

大晦日の渋谷方面はヘリが飛んで、きらきら。
紅白でパフュームが歌っていたのはセルリアンタワーのヘリポートかな?
ライトアップされている。
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今年も暮れてゆきます。
いろんなことがありました。
新しい仲間も増えて、ますますお稽古場が賑やかになります。
皆さんありがとうございました。

タマ(^^♪

暮れの人形町。
商店街もビルの谷間の観音様も新年の提灯の飾り付けが済んで、ちょっと焦る。
まだ、年賀状の準備もしていない…
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新年に、玄関に並んだ草履を見ると、
 ‎自分のは足の指の形に凹んでいて古いのに、みんなのは新品ばかりだなあ、と思っていた。
 ‎
違った。
指で鼻緒を掴むことを知らずに履いているから、跡がつかない。
 どうやって歩いてるのかねぇ、なんて首をひねる。
足の指で鼻緒を掴んでいれば草履面が足の裏についてくるので、パタパタと音もたたない。
 それから、つっかけて歩くと鼻緒がずんずん奥へずれて痛い。歩き難い。
 そんなわけで、草履は履き心地が悪い、ということになる。
 草履に申し訳ないような気がする。

 皇后様だって、何かのときには陛下をお支えできるように、と、ヒールのある靴より安定した草履で(着物で)式典に臨まれると聞いた。
 ‎
…なのに、ねぇ。
 ‎
 テレビで高齢者の転倒予防のための靴の紹介をしているのを見た。
内側が足袋のように仕切ってある。
指に力が入るので転びにくいのだと言っていた。
 (^o^)v おお、ソレよ。

暮れの人形町を歩きながら、かつて仕事でお世話になった染め物屋のおかみさんやら、蕎麦屋のお婆さん…思い浮かべてみると、普段着にエプロン掛けで草履を履いたおばちゃんが何人もいた。
「蒸かし芋食べてかない?」なんてキレのいい喋り口で、戦争で焼け残った話やら実家の染工場のことやら、随分たくさんのことを教わった。

あのお母さん達は、サンダルより草履の方が足が安定して歩きやすかったんだ。
正解だ。

やっぱり、草履や下駄で足の指を鍛えておいたほうが良さそうね。

タマ

11月27日春日会の「うがいのあとの垣の梅」は「梅暦」の米八と丹次郎の人目を憚る逢引の場面なんだそうで。

 芸者とはいえ町娘のような様子の、十七歳の米八が梅の蕾をもぎ取って口に含む…
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 この唄、歌舞伎として上演されるようになった明治期の作かと思ったら江戸時代のものだった、と解説にあった。
 ‎許嫁がありながら芸者と逃げたら、他の芸者からも惚れられて…というイケメンの争奪戦。
 ‎天保の改革で発禁処分になった為永春水の作で、生きにくい世の中であったことは間違いないけれど。

 ‎江戸の色恋沙汰は、意地と張りと嗜みが美しい衣装を着て、見惚れてみたり、啖呵をきったり。
鮮やかでいい気分の芝居。

 ‎古い時期の小唄は息がたくさん要るし、難しい…と師匠。

確かに。
タマ

帯を締める前に。
ウエストとお尻の間の凹んだ辺り(仙骨のあたり)に、キモノの上から腰布団をあてる。
腰布団は手のひらより一回り大きい楕円形のクッションみたいなもので、両サイドに紐がついている。
お太鼓にした帯の形を整えるため、また、帯のタレ先が跳ね上がらないようにするために使う。
 それから、帯の下辺お腹のところにある着物のおはしょりがボッテリしないよう見せるためにも役立つ。
おはしょりは、表に出ている着物の上前(左の身頃)の内側に下前(右の身頃)を端折った分が重なっていてそのまま帯を締めると着物の生地が重なってボッテリしてしまうので、下前分を上にかきあげて表側に出ている上前分だけにして、腰布団の紐で中の生地が落ちてこないように留めている。

文章だとわかりにくかな?
 まあ、とにかく腰布団は一つで二つの働きをしてくれるホントにありがたい道具。
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これから忘年会へ。
黒地の帯でいっそう華やか。
芯の無い帯も高さのある帯枕を使えば高い位置にお太鼓結びができる。

 お太鼓結びに使う帯枕はいろんなサイズのモノがあって、ざっくりいうと若い人や背が高い人、体にボリュームのある人は高さの出せるものを、お年寄りは細めのものを使う。
 キモノの後ろ姿は、帯のバランスの良し悪しでずいぶん印象が違う。

 最近は小さめに結んだお太鼓姿を見かけることが多いが、せっかくのきれいな模様が途中で切れていたり、余白がなくて窮屈な印象だったり。
きっと帯枕の大きさなどは気にしない人が殆どだろうと思うけれど、これも一人ひとりの体に合ったものにすれば、もっとよい景色になるだろう。
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家族の結婚式で、
朝から夕方までの長丁場。
留袖の二重太鼓は少し小さめに。
変わり結びは背もたれで潰れても気にならないような結び方。
披露宴でフレンチのフルコースも完食した、とのことだった🍴

参考までに。
着物の下着や半衿に衿芯、帯板、帯枕、腰布団など着付けに必要なものは銀座四丁目の津田家さんで揃えている。
昨年、創業百年を迎えた老舗は、やはり間違いなく頼りになる。

タマ

十二月歌舞伎座の「蘭平物狂」は、花道に立てたはしごのテッペンの「逆さ大の字」など、緊張感のある大掛かりな演出の立て(たて)で客席が湧いている。
 この「蘭平」の立てを創り上げたのは、とんぼの神様といわれた坂東八重之助さん。
以前にこのブログでもふれたことのある、“お師匠さんのお師匠さん”の一人。

 舞台の真ん中の大きな石灯籠に
井戸の屋根から飛び移る演出があるが、「最初はあんなに大きな灯籠じゃなかった」とお師匠さん。
役者も大柄になってきてるし、危ないから…ね、と。
気を抜くと命にかかわるようなことの連続、それを軽くこなすから見る方は楽しい。
八重之助さんは「蘭平」の立てで、毎日文化賞を受賞している。

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通称「アリンコ」といわれる立ての型を八重之助さんが描き続けていたのをお師匠さんは覚えているという。

 八重之助さんは「立ての型」を記録に残し、新しい工夫も重ね、歌舞伎の立て師としてはじめて人間国宝に指定されたのだけれど、この方のひたむきな熱心さが無かったら、歌舞伎の立ての継承も上手くできなかったんじゃないかと思う。

 いつか松竹新喜劇を観に行ったら、この「立て」をパロディでやっていた。
どんな芝居だったか忘れてしまったが、スピーディな立ての連続に客席も大喜びだったけど、
隣の席で師匠が、次はこんなのやるよ…と言い当てながらケラケラ笑って、「ほうら、やった、ほうら。」と。
しまいには涙を拭きながら笑っていた。

この楽しみを残してくれた八重之助さんに感謝しよう。

タマ
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